Die Brück' am Tay

どうも,橋梁趣味者のまるさです.

この記事はまるさのぼっちアドベントカレンダー3日目の記事です.


今回からは,橋の歴史を絡めて大型橋の特集を4回にわけて書いていきます.

長大橋のなかでもとりわけ大きな橋にはどのような苦労が隠れているのかなんてことをまとめていきます.


今回は橋の歴史についてです.







長大橋の勃興と試行錯誤

1781年に開通したIron Bridgeに代表されるような鉄を使用した橋梁の建築が,イギリスの産業革命の頃から始まったようです.


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Iron Bridge by Roger CC-BY 2.0


Iron Bridgeは鋳鉄で作られているようです.そもそも鋼鉄の大量生産法は19世紀まで確立されていなかったのかあとか考えると,すげえな・・・と(語彙力)

鉄鉱石や石炭の運搬に使っていたよう*1で,耐荷重やら径間やら船舶往来やらも考えると,当時かなり挑戦的でアツい橋だったんだろうなあという想像・・・いいね・・・


それから100年後の1878年,イギリスに当時世界最長の橋であるTay Bridgeが完成します.

3kmを超える長大橋ですので,これもまたかなりの挑戦だったことが想像されます.


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Tay Bridge


鋼鉄の最初の大量生産手法であるベッセマー法の特許が1855年ごろ*2のはずなのですが,鋳鉄と錬鉄で構成された橋であるようです.

この鋳鉄と錬鉄の手法は当時よく知られた設計技術のようで,それが理由で採用されたということなのでしょうか(全然資料がみつからない).


このTay Bridgeは,完成直後に崩落してしまうことになります.

みなさん大好き失敗知識データベースによると, 設計時点での耐風性能の不足によって発生した事故である*3ということになっています.

加えて鉄の質も悪かったということで,この事故から耐風性能や鉄の品質等々がより重視されることになったようです.







最強の橋:Forth Rail Bridge

Forth Rail BridgeはイギリスのForth湾に今もかかる長大橋です.


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Forth Rail Bridge by Andrew Bell CC-BY-SA 3.0


新しい素材であるところの鋼を用いた世界初の長大橋となりました.

この11年前のTay Bridgeの崩落を受け,猛烈に強靭な設計を行うことで「鋼の恐竜」などと言われるほどデカい橋となりました.


130年たっても現役の橋,すごすぎるよなあ・・・(メンテ大変らしいけど)

フォース鉄道橋カンチレバートラスという形式をとっているのですが,これも面白いんですよね・・・







長大橋って大変なんだなあ

より長いスパンが要求されるような橋においては,フォース鉄道橋のようなゴツくして力で殴るというような方針をとることができなくなります.

このために,この後から吊橋や斜張橋など様々な形式の長大橋が出現してくることになります.


大型橋特集では,のこりの3記事で吊橋・斜張橋・アーチ橋の形式ごとにどんな取り組みや背景があるのかという話をまとめようと思います.

うーん,単に読み漁っただけの知識をきちんとまとめる作業,とってもいいなあ.




というわけで

今回はこの辺で ノ


まるさ

*1:並川宏彦, "世界遺産 アイアンブリッジ峡谷," 桃山学院大学総合研究所紀要, 第30巻, 第1号, 2004

*2:特許の原文がみつけられなかった・・・

*3:"設計ミス等による鉄道橋の崩壊で75人が死亡," 失敗知識データベース, http://www.shippai.org/fkd/cf/CA0000413.html