stretch across in the sky

どうも,橋梁趣味者のまるさです.

この記事はまるさのぼっちアドベントカレンダー6日目の記事です.


大型橋特集4回目です!!!


今回はアーチ橋の話です.今回が大型橋特集の最後になります.

なんか形式そのものの説明も含んじゃうので長くなりがちですね・・・







アーチ橋ってなんだ

アーチ橋は,アーチが垂直な荷重を圧縮力に変換して主桁を支える形式です.


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荷重はアーチの圧縮力となり,水平方向の力として地盤で受ける


上図の形式は上路式と呼ばれ,主に古い石橋やアーチ式の長大橋で見られる形です.

上路式があるということは,中路式や下路式のアーチ橋もあります.


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アーチ橋の形式


一番よく見るのは下路式ではないでしょうか.他の形式だと道路と高さを合わせるのが難しいことが多いため,通常街で見かけるのはこの形式になるわけです.

上路式や中路式は,地面とのクリアランスを確保する必要がある場合などに用いられます.


今回は紹介しませんが,石橋も結構面白いんですよね・・・

現代だともう石橋の技術は使われないのでは?というような気もしますがそんなことはなくて,石工の技術というのは現代でもアチコチで使われていたり・・・


話が長くなりそうなのではやく事例研究しよ







沖縄北部の観光名所の名アーチ

最初は,沖縄県北部,本部半島と屋我地島を接続するアーチスパン210mのワルミ大橋を紹介します.


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ワルミ大橋



「ワルミ」とは,沖縄の言葉で「割れ目」という意味(たぶん)です.

その名の通り両側が崖になった海峡で,これを中間橋脚なしに渡す必要があったわけです.

そこで,上路式アーチが選定されました.

高い位置にあるために大変景色が良く,リカリカワルミという施設には展望台もあったりします.

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スマホに残ってたリカリカワルミからの景色


くわえて,必要なアーチの規模に対して幅員が10mと小さいために,曲げモーメントに対するアーチ自身の抵抗力を大きくとる必要がありました.

このような事情から,合成鋼管アーチ巻立工法という工法がとられ,この工法による橋の中で国内最長のスパンを誇る橋となります.


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合成鋼管アーチ巻立工法の概要*1


最初の鋼管の架設は左右の岸から片持ちで張り出すように架設されます.

たしか最初この工法の論文を読んだ日,興奮しすぎて鋼管架設の現場を見学に行く夢を見ました(?)

確かに,常に桁下が自由に使えるとは限らず,施工にもいろいろな工夫があって興味深いなあと・・・







日本最大のアーチ橋

テンポよくもう一本だけ紹介します!

日本で一番長いアーチ橋であるのが新木津川大橋です.


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新木津川大橋(手前は港大橋)


港大橋の取材に行ったときについでに撮影してた写真がありましたw

中央スパンが400m以上もある長大アーチ橋です.

この橋は,桁下を国際貨物の大型コンテナ船が通過するために,非常に大きなクリアランスを確保する必要があったためにこのような構造をとっています.

この橋では,水平力を支える地盤を用意する代わりに,反対向きの水平力を作るアーチを左右に設置することで水平力を受け止める「バランスドアーチ」という形式をとります.


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水平力をぶつけて打ち消すバランスドアーチ


個人的なアーチ橋の萌えポイントは,いかにテクニカルに力を受け止めているかというところにあります.

初日の記事で紹介した橋たちもこのような観点でアツい橋たちでした・・・







紹介したい橋が多すぎる・・・

アーチ橋も斜張橋と同じかそれ以上によく見かける橋です.

都内だと中央線でもよく見かけます.四ツ谷駅の上にある薄いアーチがキュンキュンします.


また,上路や中路のアーチは結構テクが効いてて味がよく染みた橋だったりすることが多いです.

どう水平力を受け止めているのか観察するためにうろうろしがち.

楽しい・・・




話が長くなる前に

今回はこの辺で ノ


まるさ

*1:梶川ほか, "合成アーチ巻立て工法によるワルミ大橋の施工," プレストレストコンクリート技術協会, 第18回シンポジウム論文集, 2009.